社会インフラの効率的な管理は、これからの日本にとってとても重要なことです。そこで、私たちベイシスコンサルティングは、様々な社会インフラを統合的かつ効率的に管理する仕組みを実現する取り組みを進めています。
私たちの活動の最初のタスクは、現在活用可能な様々な社会インフラ管理の仕組みを利用者の立場で調査し、本当に必要な機能や技術は何か?ということを明確にすることでした。
ITのシステムは、機能が多ければ良いというものではありません。業務をする立場において、操作が直感的で分かりやすく、ひとつひとつの機能が業務の効率化につながるものでなければなりません。また、ITのシステムを一度構築したら数年そのまま使い続けるような時代は終わりました。ITのシステムはサービスとなり、将来に渡って永続的に活用できる仕組みであり続ける必要があります。
私たちは、これからの未来に向けて、社会インフラの管理に永続的に活用できる仕組みを実現する、その答えを探すために、「社会インフラの管理の現場」、「IT技術の動向」の2つの面から、徹底的な実証や議論、有識者の意見のヒアリングを実施し、その結果、「SIMPL」という社会インフラ管理の仕組みが完成しました。
■社会インフラの管理の現場から現場の意見を反映
社会インフラの管理の現場の意見を取り入れることは、本検討において最も重要なことでした。そこで、実証システムを使い、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の社会実装の過程で、様々な地方自治体や建設コンサルタントの方々に協力をいただき、実際のデータを使った実証実験を進めました。
■IT技術の動向を考慮して継続的なサービスに
進化の早いIT技術の今後の動向を正確にとらえ、かつ、将来に渡って活用可能な仕組みを検討することも重要です。そこで、私たちは、開発チームを最新のクラウド技術に詳しいメンバーで構成しながら、IT技術動向に詳しい有識者のヒアリングなどを繰り返し、仕組みの定義を進めてきました。この過程は、将来永続的に常に最新のサービスを提供することにつながります。
■SIMPLという言葉は現場から生まれました
様々な社会インフラを統合的かつ効率的に管理する仕組みを実現する取り組みの中で、何度も話題となった言葉が「シンプル」です。「点検業務の現場で過去のデータを効率的に見ることができるととても助かるし、点検や診断、補修の業務の精度をあげることになる。ただし、操作がシンプルでないと現場では使えない…」「ITの仕組みは分かりにくい、シンプルなものにできないか…」「データを様々な形で活用できると価値があるのはわかるが、何でもできるシンプルな仕組みは実現できないの?…」といった意見が沢山ありました。
毎日のように「シンプルでなければ」という言葉が聞こえてくるうちに、すべて、できるだけシンプルにしていこう、”シンプル”が、このプロジェクトの中で自然に合言葉になりました。
■社会インフラ管理プラットフォーム SIMPL
社会インフラの管理においても、ITの技術においても、とても良い機能や考え方が沢山あります。そのような良い機能をつなぎあわせ、複雑なものをシンプルに管理する仕組みを目指した結果できた仕組みを、社会インフラ管理プラットフォーム「SIMPL」と名付けました。
1.社会インフラ管理プラットフォーム「SIMPL」 の特徴
社会インフラ管理プラットフォームの実現において、現場のニーズや意見から必要となる要件を整理して実証を進めてきました。その結果、SIMPLは下記の特徴を持った仕組みとなりました。
- SIPの研究結果を元にデータの活用を促進するプラットフォーム
- SIPの研究の成果を元にしたデータ構造設計
- 各企業や研究機関が機能を追加したりサービスを提供したりすることができるオープン性
- サービス型のプラットフォームとして構成された最新機能を継続的に利用できる仕組み
- データに対する自由度が高く活用範囲が広い
- 橋梁・トンネル・シェッド・舗装・共同溝・港湾・砂防・河川、管理対象に制限がない
- 地域独特のデータなど、独自に管理しているデータも、あわせて登録可能
- 拡張可能でオープンな自由度の高いプラットフォーム
- 既存のデータベースや既存のアプリケーションと連携可能
- データの取り出しや分析が可能
2.プラットフォームのサービス化における目標
社会インフラ管理プラットフォームを、実際の業務で最大限活用可能なものとするために、下記の5つのポイントにフォーカスし、システム設計を実施しました。
3.価値が広がるプラットフォームの実現
社会インフラ管理プラットフォームは、様々なサービスを追加し、総合的な価値を高める仕組みであることが重要です。社会インフラ管理プラットフォーム「SIMPL」は、点検・診断・補修等のデータを管理する基本的な機能を持ち、その蓄積されたデータを、様々なサービスに利用可能なものとして提供する基盤です。プラットフォーム上に追加する様々なサービスは、既存のものでも新規のものでも良く、準備されたデータ連携の機能を使い連携することで、価値を高めていくことができます。